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広告をやめましょう、と提案するのも広告マンの役割なんだ。 [広告]

ようやく企業のCMが流されるようになってきたけど、
あいかわらずACのものが多い。新聞も広告集めにたいへん
なんだろうな、と思う。マスメディアにも
広告業界にも、今回の大震災は大打撃だったはずだ。
そして、報道、流される情報への不信感は
ますます広がっているような気がする。
それは、そのままマスメディアへの不信感につながり、
広告というビジネスをぐらつかせる。

昔……(それは、今でもそうかもしれないけど)
マスメディアに広告を出すだけで、
十分な効果を得られる時代があった。
「この商品、テレビでCMやってるやつですよ」
というセールストークが成立したのだ。
テレビに出てる、新聞に載ってる、雑誌で紹介されている。
それだけで、生活者は商品を信用して、買ってくれた。
信用できるマスメディアの広告だから、
変な商品じゃない大丈夫、と信じてくれたんだ。
だから広告は、出すだけでも十分だった。
あとは、どう目立つか。たくさんの広告の中から
いかに目立つかを考えるだけでも良かった。

ちょっと前に、似たようなこと書いたけど(過去記事
広告業界は、ほんとうに大きな転換期だと思う。
今、たいへんだからといって、なりふりかまわず
行動していたら、そのツケは必ずまわってくると思う。

企業が広告に不信感を持ち出した。
それは、広告会社への不信感であるような気もする。
広告会社は、クライアントとの信頼関係を結び直すこと。
そして、クリエーターは、きちんと表現を考えること。
「どうやったら賞が取れるんだろう?」と
審査員の顔を思い浮かべて考えるのではなく、
「どうやったら、商品(企業)のこと伝えられるんだろう」
「何を伝えるべきなんだろう?」と
生活している人たちの顔を思い浮かべること。
それが必要なんじゃないだろうか。

最近、被災地へのお見舞い広告というのを
よく目にする。新聞にも雑誌にも出てる。
「被災地の皆さまに慎んでお見舞いを
申し上げます。早い復興を心よりお祈り申し上げます」
というメッセージだ。
この広告、効果的なんだろうか?
そもそも、誰に向けて広告してるんだろう?
被災地の方々は、広告を
見る余裕があるのだろうか?
被災地に密接に関わってる企業の場合、
それほど違和感がないが、
まったく関係のない企業がこれをやると、
逆効果になるのではないか。

これは、広告会社の提案なのかな?
それとも、クライアントからのオーダーなんだろうか?
もし、オーダーだったら、すぐに飛びつかず
ほんとうに効果的なのかじっくり考えるべきだと思う。
そして、ノーという答えが出たとしたら、
広告をやめましょう、というのも
立派なプレゼンテーションのひとつだと思う。

もし、クライアントとの
関係が悪くなるのであれば、2案用意すればいい。
1案は、広告案。そして、もう1案は
口答で説明するだけですむ。
「私たちがおすすめするのは、こちらの案です。
広告はやめましょう。そして、その広告制作に
かかるすべての費用を寄付にまわしてください。
もちろん、私たちのプレゼン代も
そこに含めてほしいのです」

広告をやめましょう、と提案するのも広告マンの役割、
それは昔から思ってることだ。そして、それを言って
生意気だと嫌われたり、仕事をなくしてきたりしている。
でも、正直、言えない状況のときもあった。

まさに、真冬の広告業界。
私もそうだけど、
みんないろんなものを背負いながら、
生活することに必死だ。
だけど、志は、しっかりと持ち続けていきたい。


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