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忌野清志郎の頭の中(5)たかがロックじゃねえか! [音楽(忌野清志郎)]

表現の自由を掲げた忌野清志郎のバンド、タイマーズ。
これが、その過激な歌の世界だ。

覚醒剤音頭

覚醒剤はいけません(ヨイショ)
注射を打つなど なおのこと(ア コリャ)
それとも人間やめますか(ア ドシタ) 
今さらやめても もう遅い
(セリフ)
まいどお騒がせしております。ご近所の皆様、
只今、覚醒剤撲滅キャンペーンと麻薬撲滅キャンペーンを
合わせて実施中です。ぜひ 皆さんこの機会に
麻薬、覚醒剤等をお持ちの方は、我々に出してください。
トイレットペパー、ガム等と交換いたします。
全歌詞)(you tube)(you tube


覚醒剤追放を歌った歌。と受け取られている曲だが、
そうなんだろうか? 警察や政府公報、
民放連のキャンペーンをちゃかしたものとも
感じられるのだが。麻薬撲滅キャンペーンを考えた
広告マンは、ずっこけたのではないか。


宗教ロック

文化人も入ってる ニセ芸術家がまた入る
宗教〜 宗教〜
足りない頭を癒してもらってる

男にふられてすぐ入る メソメソ泣いてはまた入る
宗教〜 宗教〜
貧しい心はメイクじゃ隠せねえ
全歌詞)(you tube

この曲は、信仰心が厚い人から、かなり反感を買っただろう。


まわりはワナ

まわりは ワナまわりはワナ まわりはワナ
まわりはワナが仕掛けられて
端 端 端 端から端まで
端から端までチョコレートが燃えている
ゲンカク ゲンカク ゲンカ クゲンカク
ゲンカクな人が立っている
(全歌詞)(you tube

まわりはワナ(マリファナ)、端から端(ハッシッシ)、
ゲンカク(幻覚)と、危ないもじりが盛り込まれている。


総理大臣 

なんにも はっきり言わねえ 総理大臣
遠回しで ごまかし続ける 総理大臣
何だか頼りねぇの 総理大臣
我が国の総理大臣
youtube

1コードでぐいぐいと引っ張っていく。
当時の総理は誰だったか忘れたが、
時代は変わっても、この歌詞は色あせない。


国際化の時代

国際化の時代 拳銃持たなきゃ
エイズが心配だな アメリカみたいだ
これで やっとうれしい国際化
そうさ これが国際化の時代
全歌詞


ロックン仁義

(セリフ)
気がつきゃあ かるいサウンドばっかりじゃござんせんかい
何をうたってんだか よくわかんねえ 
英語だかなんだか 聞きとれねえような
サウンドばっかりでごぜえやす
(中略)
冗談のひとつもいえねえ
好きな歌さえうたえねえ
替え歌ひとつにもいちいち めくじらを立てる
いやな世の中になっちまったもんでござんすねえ
全歌詞)(you tube

音楽業界に関しては、怒りを通り越して情けない、
そんな心境だったんだろうか。浪花節調で訴えた
メッセージソング。




ここまでは、表のタイマーズ、東芝EMIから発売された
2枚のアルバムに収録されていた曲だ。
インディーズから発売された「不死身のタイマーズ」に
収録されていた曲やレコードに収められなかった曲、
いわゆる裏のタイマーズは、さらに過激だ。
差別用語、下品な言葉、グロテスクな表現が満載だ。

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ヘリコプター

ヘリコプターヘリコプター 
燃え広がる前に飛んでこい
ヘリコプターヘリコプター 
レポーターよりも俺を乗せてくれ
火事場の周りの野次馬ヘリコプター
全歌詞)(youtube

「不死身のタイマーズ」収録曲。阪神淡路大震災を
テーマにしたもの。誰もが思ったであろうことを
ストレートに表現した歌だ。


ゴミ

臭いものにはフタをしろ
面倒くさけりゃ捨てちまえ
腐った奴らが汚ねえゴミを出す
全歌詞)(youtube

同じく「不死身のタイマーズ」収録曲。


イツミさん

思い上がった現代医学 人間の体を
切ったり 貼ったり 取り替えたり
自動車部品じゃあるまいし
挙げ句の果てに 抗がん剤 薬漬け
全歌詞

ガンに倒れた人気アナウンサーをテーマにした歌。
「不死身のタイマーズ」収録曲。


トカレフ(精神異常者)

ピストルを手に入れて ヤブ医者を殺すのさ
一発でしとめるさ 朝の改札口で
トカレフを手に入れて ヤブ医者を殺すのさ
2~3発ぶちかましゃ 駅も血にそまる
(略)
偉そうな裁判官もまともな俺には
律も刑罰も歯が立たねぇ
精神異常者と みんなが認めちゃってる
you tube

かなり過激な歌詞だが、この歌は、
94年に東京品川区で実際におこった事件をテーマにした
ものだと思われる。(参考


その他「お前の股ぐら」「あこがれの北朝鮮」「トルエン」「ブツ」など。


タイマーズの歌詞は、RCやソロ名義のものと
くらべると、ストレートで、
投げっぱなし感のあるものも少なくない。
「何を伝えるか」よりも、
「何を歌うか」に重きを置いたのではないか。
サウンドは、ロックンロールを
ベースにしているが、
あきらかに「ふざけた」アレンジの曲もある。
メッセージを重要視するなら、
もっとシリアスな曲調にするはずだ。

バンド名もパロディ、いわゆるおふざけだ。
そして、コスプレファッション。
インタビュー時も忌野清志郎ではなくZERRYだと
言い張っていた。これもひとつのお遊びだろう。

タイマーズの目的は、大衆の煽動やプロパガンダだ!
なんて書かれたものもあるが、違うような気がする。
タイマーズは、RCサクセションでの活動に
行き詰まった清志郎が、
やりたいことをやるために始動させたロックバンドだ。
清志郎はただ、
過激でおふざけが好きなZERRYに成りきって、
驚かせたり、騒がせたり、怒らせたりして
楽しんでいただけなんじゃないだろうか。
「たかがロックに、何騒いでんだ」なんて言いながら。

冗談のひとつもいえねえ
好きな歌さえうたえねえ
替え歌ひとつにもいちいち めくじらを立てる
いやな世の中になっちまったもんでござんすねえ
         (ロックン仁義 作詞ZERRY)

(敬称略)





6へ続く





(以下の本を参考にさせていただきました)

忌野清志郎(地球音楽ライブラリー)FM東京

清志郎を聴こうぜ 原田和典 主婦と生活社

Dreams to Remember~清志郎が教えてくれたこと 今井 智子
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