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父が残してくれた本(その5)藤堂志津子「絹のまなざし」。 [本]

いままででいちばん本を読んでいた時期。それは高校〜大学に
通っていた学生時代だと思う。一日3冊というハイペースで
読んでいたこともあるし、読書に多くの時間を費やしていた。
卒業して就職してからも、しばらくは読書は続けていたんだけど、
超ハードなプロダクションに勤めるようになってからは、
その時間がゼロになってしまった。時間もないし、余裕もない。
コピー書くので精一杯だったんだよな。

その会社をやめて、フリーになって、読書の時間ぐらい
つくれるようにはなったんだけど、長い長いブランクがあったわけで。
本屋さんに行っても、知らない作家さんの本がずらりw
な〜んて状況になってしまって、あまり本を読まなくなった。
ゼロではなかったけど、せいぜい月1冊程度。
そのうち、目が悪くなってしまって、またまた長いブランク。

そして、リーディンググラスを買って、最近、復活したわけだけど、
よく読んでるなあ。なかなかのハイペース。
父がいろんな本を残してくれたおかげだ。
いままで読んだ本は、角田光代さん以外、読んだ事のない
作家の本ばかり。まさか父から、自分の知らない作家を
教わるとは思わなかった。普通は逆なんだろうけどね。
「オヤジ、この作家さんの本、おもしろいよ」って感じでね。

で、藤堂志津子さん。名前は知っていたが、
作品を読んだ経験はゼロ。角田さん同様、
父が読んでいた意外な作家さんのひとりだ。
プロフィールを見ると、この方も、広告畑出身なんだなあ。

父が読んでいたのは、
札幌を舞台にした恋愛小説「絹のまなざし」。
薬局の店長・恵利子、店に出入りする化粧品メーカー営業・映子、
その愛人・甲介、そして甲介の妻・布美、娼夫のトモヤという
5人が繰り広げる愛憎劇だ。ドラマチックな展開があるわけではなく、
ふつうの日常が延々と続いていくような小説。複雑に絡み合う
5人の心の中が綴られていくだけだ。
どちらかというと、女性に好まれる小説なんじゃないかな。
正直、私は、この手のものは、ちょっと苦手、
後半、中だるみしてしまった。

主人公は恵利子ということになるが、甲介・布美夫妻も
重要なキャスト。この夫婦が、幼い娘を亡くしたという設定に
なっているのだが、その描き方がちょっと……、
同じ経験をした人間として、
それは違うだろう、と感じることが何度かあった。
まあでも、それだけ、小説の世界に入り込めた、
ということなんだけどw



絹のまなざし (幻冬舎文庫)

絹のまなざし (幻冬舎文庫)

  • 作者: 藤堂 志津子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2005/12
  • メディア: 文庫





もう1冊は、浅田次郎さん「活動寫眞の女」。
こちらも恋愛小説だが、大学生が主人公のピュアな青春小説。
すんなりと読む事ができました。



活動寫眞の女 (集英社文庫)

活動寫眞の女 (集英社文庫)

  • 作者: 浅田 次郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2003/05/20
  • メディア: 文庫





複雑な恋愛模様を描いた「絹のまなざし」と
純粋な大学生の淡い恋「活動寫眞の女」。
対照的な恋愛小説なんだけど、
う〜ん……
なぜか、「絹のまなざし」の方が心に残ってるw
自分の心がピュアでなくなったからかな?




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