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父が残してくれた本(その9)藤田宜永「流砂」 [本]

作家さんの名前は知っていたが、小説を読むのははじめてだ。
元々は、ハードボイルドやミステリー小説を得意としていた方の
ようだが、ある時期から、恋愛小説を執筆するようになったらしい。
直木賞を受賞した「愛の領分」も恋愛小説、この「流砂」もそう。

主人公は、新聞記者・塩野と、旅館の女将の妹・志津子。
能登の旅館を舞台に繰り広げられる中年男女の不倫の恋の物語だ。
男が描く不倫の恋といえば、渡辺淳一さんのドロドロとした
ストーリーが思い浮かぶが、「流砂」は、そういう
小説ではない。浮気が発覚したり、結婚を迫ったり、妻と愛人が
出会うというような展開もなく、重さを感じない小説だった。

「流砂」は、劇的なストーリー展開もなく、
二人の恋模様だけが延々と続く、まさに淡々とした恋愛小説。
ページ数は、424ということで、そこそこの長編だが、
中だるみを感じなかった。最近読んだ小説の中では、
いちばんすんなりと読めたように思う。
作家さんとの相性みたいなものなのかな。

ただ、この小説の主人公は、好きになれなかった。
どうしようもなくズルい男。
イヤなヤツだな、と思いながら読んでたw
男目線というか、男に都合のいいストーリーだと
感じたのだが、女性は、どう感じるのか、
聞いてみたいと思った。

「こういう男はダメだろう」と、
父にも感想を聞きたかったw





流砂 (講談社文庫)

流砂 (講談社文庫)

  • 作者: 藤田 宜永
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/03/15
  • メディア: 文庫






タグ:藤田宜永
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