元ちとせというシンガー、
CDは持っていないのですが、
WOWWOWやNHKのBSでやっていたライブを
録画して、車の中でよく聴いています。
興味を持ったのは、そのライブのバンドのメンバーがすごかったから。
キーボードが元ボガンボスのDR.KYON、
そしてドラムが上原裕。これだけのメンバーがバッキングを
努めるということはタダモンじゃない。そう思って
聴くようになりました。いい曲が多いですよね。とくに歌詞がいい。
彼女は歌詞を書かない、ソングライターではなくシンガーなんですね。
人のつくった曲をここまで情感込めて歌えるということは、
歌詞に対する咀嚼能力がずばぬけているのかもしれない。
作者のメッセージを理解する。そして自分というフィルターを通して、
自分なりに表現して歌っているように思えます。

特に好きなのが「恐竜の描き方」という曲です。
これはストーリー性が強い曲で、聴いていると
まるで絵本を読んでいるかのような気分になります。

スケッチブックに、なにげなく恐竜の絵を描いてみた。
目をとじて、遠い昔を思い、そっと呼びかけてみる。
すると目の前に恐竜が現れ、
私をやさしく背中へと導いてくれる。
恐竜と私の旅のはじまりだ。
そびえる摩天楼、コンクリートジャングル。
恐竜を受け入れてくれる太古の森はどこにもない。
恐竜は寂しげに、当てもなくビルを登っていく。

解釈してみると、そんなような物語でしょうか?
全然違うかもしれませんが…。

広告でもそうですが、恐竜という素材は、滅びのシンボルとして
扱われます。少し前のマイクロソフトの広告がそうです。
この曲の場合も、滅びゆく動物たちの象徴として
扱われているのではないでしょうか。ケモノにも鳥にもなれなかった
あなた、という歌詞が出てきますが、環境破壊の中で、生き残っていける
動物とそうでない動物がいる。これは、生き残れない動物たちへ
捧げる曲。エコロジーというテーマで書かれた曲だと
自分は解釈しました。違うかな。笑

この曲をつくったのが、レピッシュのキーボード奏者だった
上田現さん。今年、亡くなられましたね。残念です。


「恐竜の描き方」作詞:上田現
歩き出した巨大な影を見上げて
私は今何の歌を歌おう
太古の森に倒れたあなたは
行く当ても無くビルに登る
(全歌詞)
(試聴)


ハナダイロ

  • アーティスト: 元ちとせ,岡本定義,上田現,HUSSY_R,松任谷由実,COIL,常田真太郎,間宮工,松任谷正隆
  • 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン
  • 発売日: 2006/05/10
  • メディア: CD