1980年12月に発売された、RCサクセション「PLEASE」に
収録されていた曲。まさに、急速にブレイクしていた頃ですが、
清志郎さんがこの歌詞を書いたのは、1977年の1月。
アルバム「シングルマン」が売れずに低迷していた時期。
泉谷しげるさんへの怒りを表現した歌だと言われています。
その件について泉谷さんは、「ぼくの好きなキヨシロー」で、
触れていました。

 その頃のRCはというと、ほとんど活動していないようだった。
 ホリプロとゴタゴタしていたとも聞いていたし、耳に入ってくるのは
 よくない話ばかり。正直、もうダメなのかと思っていた。そのときに
 言ったのかどうかは忘れたが、「今の清志郎は死んでいる」という
 ようなことを、オレが言ったんだ。オレの憧れていたあの忌野はどこに
 言ったんだ!?という思いだった。(中略)
 RCの「あきれて物も言えない」は、オレの言ったことに清志郎が腹を
 立てて作った曲らしい。今思うと、届いてよかったってことだな。
 オレは生意気にもそんなことを言っちゃったけれど、それが起爆剤の
 ひとつになったんだから、よかった。今思えばね。
 (「ぼくの好きなキヨシロー」より引用)

ぼくの好きなキヨシロー

  • 作者: 泉谷 しげる
  • 出版社/メーカー: WAVE出版
  • 発売日: 2009/10/17
  • メディア: 単行本



で、この曲なんですが、清志郎さんが歌詞を書きためていた
「清志郎ノート」には、
「あきれて物も言えない」とタイトルが付けられ、
その後に副題として「山師」と書かれています。
そして、歌詞もいきなり
「♪どっかの山師が〜」とはじまります。

難しい言葉ですよね。意味を知らない人もいるかもしれない。
(山師=鉱脈の発見を仕事にする人。転じて一攫千金を狙う人。広義では詐欺師)
まあでも、個人的には、この言葉がすごくインパクトあって、
印象に残りましたし、好きになりました。
清志郎さん自身も、
副題にも付けてたぐらいだから
この言葉にこだわったんじゃないでしょうか。

違う言葉に置き換えようと考えると、これが難しい。
私のような凡人なら、「どっかの野郎が」と
書いてしまいそうですが、
すぐに「あの野郎、よく言うぜ」という言葉で受けるので、
それはありえない。意味を考えると、詐欺師またはペテン師が
近いかもしれない。
でも「♪どっかの詐欺師が〜」というように変えると、
う〜ん。なんか薄っぺらい。
「ヤマシ」っていう言葉、
響きもインパクトあるのかもしれない。この暗い曲調にも合うし。




「あきれて物も言えない」  作詞・作曲 忌野清志郎

どっかのヤマ師が オレが死んでるって 言ってたってさ
よく言うぜ あの野郎 よく言うぜ
あきれて物も言えない

どっかのヤマ師が オレが死んでるって 言ってたってよ
よく言うぜ イモ野郎 よく言うぜ
あきれて物も言えない

ところが おエラ方 それで血迷ったか
次の週には 香典が届いた
前の土曜日に ガンバローって 乾杯したばかりなのに

オイラ その香典あつめて こうして遊んでるってワケさ
ますます 好き勝手な事ができる
さあ オマエに何を買ってやろうか

ヤマ師が 大手をふって 歩いてる世の中さ
汗だくになってやるよりも 死んでる方がまだましだぜ
                  (以下略)







走れ何処までも - Single( i Tune)