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忌野清志郎/スローバラード [音楽(忌野清志郎)]

広告はビジュルとコピー、歌はメロディと歌詞。この両者の関係は
とてもよく似ているような気がします。言葉だけでは
伝えきれないことを、広告ではビジュアルが、音楽ではメロディが
補ってくれます。メッセージをわかりやすくしたり、
ふくらみを持たせたり、あるいは違う意味を持たせたり、
ビジュアルやメロディの持つ役割はとても大きなものだと思います。
歌の場合、歌詞とメロディは、素材のひとつ。それを
演奏者が奏で、シンガーが歌い、血を通わせることによって、
作品となります。ライブだと、さらにビジュアルが加わる。
演奏者やシンガーの表情、パフォーマンスによっても
印象が違うものになるでしょう。

RCサクセションの代表曲「スローバラード」。この歌を聴くと、
音楽というのは、歌詞と、メロディ、楽器の音色、歌声、
そのすべてが一体となってひとつの作品なんだな、とあらためて思います。
行間を読むという言葉がありますが、この歌は、その行間を
サウンド面で表現したのではないでしょうか。
歌として聴くと、歌詞だけでは感じられなかった、ストーリー、
この主人公の心情みたいなものまで伝わってくるような気がするのです。


スローバラード 作詞:忌野清志郎/みかん

昨日はクルマの中で寝た
あの娘と手をつないで
市営グランドの駐車場
二人で毛布にくるまって

カーラジオからスローバラード
夜露が窓をつつんで
悪い予感のかけらもないさ
(以下 略)

(全歌詞)

とても愛しあってる、若い男女。
そんなには豊かではないのでしょう。
駐車場で寝泊まりしたりすることもある。
ちょっとあぶなかっしいな、
と感じられたりもします。でも、
それを受けて、悪い予感のかけらもないさ、と全否定。
微笑ましいラブソングだと取れない事もない。

しかし、この歌は、悪い予感でいっぱいの
男女を描いた歌。メロディでそう表現しているからです。
いきなり悲しげなイントロではじまり、悲しげな
メロディ、サウンドで歌詞が綴られていきます。
清志郎さんの歌い方も、それを表現しています。
特に、「悪い予感のかけらもないさ」の、「ない」の部分は
悲痛な叫びに聴こえます。

清志郎さんが歌うのを何度も見ていますが、
いつもこの「ない」の部分で、声が裏返りそうになって
苦しそうに聴こえます。
おそらく音域ぎりぎりの部分なのでしょう。
ふつう自分が歌う曲をつくる場合、歌いやすい
メロディーにするのに、なぜこんなに高い音に
設定したのか。それはおそらく、
この歌詞を表現するのに、「ない」で叫ぶ必要が
あるからでしょう。
悪い予感でいっぱいの主人公が、
そんなことはないと全否定し、悲痛な叫び声をあげる。
それを表現するために不可欠な二音だと思います。


忌野清志郎/スローバラード

RCサクセション/スローバラード


RCサクセションと交流があったバンドのひとつが
サウストゥサウス。サウス再結成時には、RCがサポートしています。
そういう関係もあって、清志郎さんは昔、サウスの上田正樹さんに
この曲、歌ってみない?と「スローバラード」を提供したのだそうです。
だとすると、もしかしたら上田さんのキーに合わせてメロディをつくった
のかもしれませんが、そのへんのことはよくわかりません。
この話、結局実現しませんでしたが、上田さんがソロになったとき、
ふたたび清志郎さんは曲を提供。それが「sweet soul music」です。

上田正樹グループ「sweet soul music」




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