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さらば、杉内俊哉。 [スポーツ]

日本球界NO1左腕、ホークス投手陣の顔、杉内俊哉投手が、
読売ジャイアンツへ移籍した。それを受けて、
ホークスファンからのバッシングが止まらない、
という記事が掲載されていた。J-CASTニュース
球団の査定制度を変えるのが狙いでFA宣言したといいながら、
結局はカネだけが目的だったじゃないか、という批判らしい。

杉内が、球団へ不信感を抱いている、という噂は
昨年、耳にしていた。球団の自分ヘの評価が低い、
新査定方法や年俸制度がおかしい
という不満を抱いていて、昨年の契約更改時も
かなりもめたらしい。そのせいか、今年の杉内は、チームの中で
なんとなく、ひとり浮いている印象があった。
気持ちが入ってないというか、冷めているというか。
あくまでも、テレビ画面から伝わってくる印象なんだが。
そして、今年は、好投しながらも勝ち星に恵まれず、どちらかというと、
和田に次いでの二番手の印象。それは偶然なんだろうか。

というわけで、ホークスファン、杉内ファンである私は、
今年のオフは気がかりだった。
だが、杉内は、球界を代表する左腕であり
チームの柱だ。和田のメジャーリーグ入りも確実だったし、
球団も、必死で引き止めにかかり、それなりの評価を
提示するのではないかと。

交渉の経緯、詳しくは知らないが、新聞等の記事によると、
FA前に、まずホークスとの交渉。
杉内サイド(杉内+代理人)は、
自分へのきちんとした評価と、昨年より採用されている新査定
(実績を軽視し、その年の成績を重視するというもの。)
の見直しを要求。新しい査定方法には、選手への愛情が感じられない。
その年の成績が悪くて、年俸が大幅ダウンすると、
税金が払えなくなったりする可能性もある。他の選手のためにも、
見直してほしい、と訴えたようだ。
これに対して、ホークスがどういう答えを用意したのかは知らない。
だが、球団としては、採用したばかりの新査定を変える
なんていう事は、なかなかできないのではないだろうか。
そして、球団が提示した条件も、
どうやら、杉内には、思ったようなものではなかったようだ。
結局、ホークスとの交渉はものわかれに終わり、FAを宣言。
ジャイアンツが杉内獲得に名乗りを上げ、
一回目の交渉。「4年契約で総額20億円」という好条件を出した。
それに対して杉内サイドは、「野球人生をここで全うできる
環境と覚悟を示してほしい」と要求。
もう一度交渉に応じる態度を示している。
この時点で、「杉内巨人入りか」という記事が出て、
杉内の気持ちが大きく傾いたことが伝えられた。

それを受けてホークスは、
二回目の交渉に、オーナー代行も参加、
新査定の見直しの約束と
「4年契約で総額22億円」というジャイアンツを超える
好条件を提示、精一杯の誠意を見せた。
それに対して代理人は、これでもう移籍するという理由がなくなった、
と答え、杉内残留をにおわせた。
ファンとしては、ひと安心。
このまま、杉内残留で、収まるかと思っていたのだが、
意外な結末が待っていた。

ジャイアンツとの二回目の交渉が終わると、流れは一変、
ジャイアンツ移籍へ。
「野球人生を全うできる環境と覚悟」という要求に、
ジャイアンツが用意した答えは、エースナンバー「18」だった。
このサプライズに、心が動いたということのようだが、
理由はそれだけではなかった。
その後の記者会見で、杉内は
「昨年の契約更改で、球団幹部から、FAを取っても君を必要とする
球団はないというようなことを言われ、感情の部分がどうしても
元に戻らなかった」と、移籍の理由を涙を浮かべながら答えている。

しかし、急に、移籍へと傾いた事から、二回目の交渉時に
エースナンバーとともに、「4年総額30億円」という
破格の条件を提示されたのではないかという噂が流れた。
結局はカネで動いたじゃないか、とファンから
バッシングを受けている、というのがここまでの経緯。

今回の一連の報道で感じたことは、代理人制度の弊害、
そして、ジャイアンツの交渉のうまさだ。
杉内というのは、自分のふがいなさに、拳で壁を叩き骨折したり、
号泣するような、気性の激しい選手。プライドが高く、
責任感も強いのだろうと思う。
逆にいえば、意気に感じて投げる人。扱いやすいタイプでもある。
きちんと顔をつきあわせて、気持ちを伝えればわかるはずだ。
でも、交渉の場にいたのは、ほとんどが代理人。
ホークスにとって、そのことがいちばんのネックだったように思う。
杉内を激怒させた「君を必要とする球団はない」という言葉も、
本人が直接聞いたものではなく、どうやら代理人からの伝達のようだ。
経営サイドにとって、弁護士などの代理人はやっかいな存在。
当然、本人にしゃべるのとは、態度も口調も変わるだろう。
そして、代理人が、言葉をどう受け取って、どう伝えるかに
よって、その印象は大きく変わるはずだ。
そもそも、球団幹部が、契約更改の場で、必要とする選手の
プライドを傷つけるようなことを言うだろうか?
あきらかに、第三者がからむことにより、誤解が生じていたのだと思う。

片やジャイアンツ。杉内の性格をとらえ、
ふたつのサプライズを用意した。
一回目の交渉時には、途中で、
原監督から電話があったと聞いている。
「WBCの時のように、また一緒にやろうじゃないか!」と
熱く語りかけたそうだ。
そして、背番号「18」。これは、まさにビッグサプライズだ。
ジャイアンツの長い歴史の中で、この背番号を付けたのは、
わずかに7人。すべて生え抜き選手だ。
そして、V9以降、左のエースは、21と決められているらしい。
つまり、18番は、生え抜きの右のエースしか背負えなかったのだ。
そんな不文律をくつがえす、エースナンバーのプレゼント。
杉内の心を大きく動かしたのではないだろうか。

会見での杉内の涙。あれは、ウソではないだろう。
だとしたら、カネではない。
噂のように、金額の上乗せがあったとしても、
動いたのは、杉内ではなく、杉内サイド。
本人は、動いたのではなく、動かされたのだろうと思う。
今回の件は、ファンとしてすごく残念だが、
杉内サイドが選んだ結果だ。
個人的には、ジャイアンツは、
選手を、特に移籍選手を大切にしない、
という印象があるのだが、
そうでないことを願ってる。
さらば、杉内。長い間、ありがとう。




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