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忌野清志郎について、いろいろと書きたくなった。 [音楽(忌野清志郎)]

あれは確か中学一年生の時だったと思う。
私が通っていた中学にはとても人気のある
社会科の先生がいた。その先生は、
ある日の授業で、戦争の様々な写真を見せて、
戦争の悲惨さを声高々に訴えた。その後、
戦車や航空機など、自衛隊の装備品を次々と
生徒に見せ、「すごいやろ、自衛隊の武器も。」
「みんな、どう思う? どう見てもこれは軍隊やな。」
「どんどん人を殺せんねんで」
「これでも自衛隊賛成、言うヤツは手を挙げてみい」と
叫んで、教室内を見回した。

その瞬間、私は「は〜〜〜〜い」と手を挙げた。
もちろん、たった一人である。
教室の中の空気はぴ〜んと張りつめ、
その先生は、顔をひきつらせていた。
そして、授業終了後、あきらかに
私に聞こえるように、「自衛隊賛成なんて言うヤツは、
戦争言って死んでしまえ」と言いながら
教室を去っていった。

私は、自衛隊に賛成でも反対でもなかった。
興味がなかったのだ。
ただ、学校の先生が、自分の思想を
生徒に一方的に押し付けるのは
間違ってるだろうと思ったし、
腹が立った。逆らってみたくなったのだ。

押し付けられると、逆らいたくなる。
権力みたいなものと、戦ってみたくなる。
それは性格みたいなものかもしれない。
似たようなことを、高校、大学、
そして社会に出てからも繰り返した。

フリーになる前に、ある広告プロダクションで
働いていたが、ここは社長の持つ権力に社員が
支配されていた。社長が黒といえば、白いものでも黒。
古いアイデアなのに、社長が言えば「おおすごい!」と
拍手するような会社。社長がラフな服装がキライだからと、
社則があるわけでもないのに全員ネクタイ姿。
社長が神様みたいに、あがめられていた会社だった。
なぜ、そんなに力があったかというと、社長は
デザイン界の重鎮とされ、幅広いコネクションを
持っていたから。みんなそれをおそれていたんだと
思うが、私は正直、そんなもの、こわくなかった。
社長の陳腐なディレクションに対して、
正直にものを言い、ひとりノーネクタイで通した。
社長には、そうとう嫌われたはずだ。
若手社員からは、「ひそかに応援してます」とか
「負けないでください」とか言われたりしたのだが、
別に会社のために戦っていたわけではない。
変だなと思ったし、逆らいたくなっただけ。
困らせてやろう、驚かせてやろう、
という気持ちも少しあったのかもしれない。

フリーになってからも、似たようなこと、
しょっちゅうやってた。違うだろ、それ、と思ったら、
そのまま行動してしまうのだ。
そういえば、一度、某代理店の制作局長に、
生意気だと怒鳴られたこともあったが、
これは、ちょっとビビったw

結婚して、子どもが生まれてからは、
すこし変わったような気がする。
年をとった
ということかもしれないけれど。
でも、根っこの部分は
変えようがないんだな、と感じることがある。

で、そうやって生きてきてどうだったかと
言うと、別にいいことなんかなんにもない。
得たものは自己満足ぐらいで、
むしろマイナスに働いたことの方が
多いように思う。
中学の時だって、間違いなく社会の
成績は下がってただろうしw
会社では、まっさきにリストラ対象にされた。
そして、なによりもカラダに悪い。
すごく疲れるのだ。

ひとつの力にさからうこと、それは、
人とは違うことをやることだったりもする。
驚かすこと、目立つことでもあり、
ちょっとした快感にもつながるが、
多大なストレスがかかる。
どんなに神経が太い人間だって、
疲れるはずだ。
なんで、こんなこと
やってるんだろう、って後悔したりする。
でも、また、やってしまう。

人が人に自分と同じ匂い、同じ種類の何かを
感じることがあると思うが、
私は、忌野清志郎に、それを感じる。
もちろん、清志郎と似てるなんて、
あつかましいこと思ってないw
やることのスケールが圧倒的に違うし、
才能、そして勇気というものも足もとにもおよばない。
ただ、根っこの部分で、ほんの少し近いものが
あるような気がする。
だから、清志郎の言動、音楽に強く強く
ひかれるのだろう。

私が、いままで「逆らって」きたのは、
いい広告をつくるため。
じゃあ、忌野清志郎は何か、
それは間違いなく、いいロックをつくるためだ。
歌いたいことを歌うために、それを
阻止しょうとする権力と戦った。

忌野清志郎について、ちょっと長い文章を
書いてみようと思う。忌野清志郎論みたいなものだ。
親交があったわけでもなく、単なるファンのひとり、
無名のライターの端くれが、
偉大なるロックンローラーについて偉そうに
論じてもいいものか、とも思うのだが、
パートナーだって、その人間の本質なんてわからない。
友人たちもそう、子どもだってそうだ。

もうすこしで三回忌だし、
なぜか反原発運動のシンボルとして
クローズアップされてたりする。
だから、思いつくまま、書いてみよう。

もし、忌野清志郎が生きていたら、
「サマータイムブルース」を歌うだろうか?。

忌野清志郎の頭の中。

(敬称略)


続く


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