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小説の映画化って、う〜ん……「プリンセストヨトミ」の場合。 [映画]

小説を読んでから、その映画化されたものを映画館に
見にいったという経験は、ほとんどありません。
テレビやビデオは別ですけどね。原作との違いは?的な
気分で、気軽に見れますからね。
映画館に見に行くともなれば、スケジュールの調整も必要だし、
そしてお金もかかる、というわけで、慎重になります。
小説の映画化を見にいかない理由は、
つまんないだろうと思うからです。
昔、「カラーパープル」を見て懲りました。
スピルバーグさんに、小説のイメージを
ズタズタにされたんですw

小説を先に読んでいる人は、ストーリーがわかっている。
つまりネタバレしてるわけだから、展開を追うドキドキワクワクが
まったくない。そして登場人物や場面、その他いろんな
イメージがもうすでに出来上がってるので、
違和感を覚えることが多い。そういう客を、満足させるのは
かなり難しいのだろうな、と思います。
そして、何日もかけて読まれるストーリーを、
わずか数時間で表現するわけで、
当然いろんな部分をカットしなければならない。
小説を映像で見せるには、まだテレビのドラマの方が
ラクなのかもしれませんね。

でも、そこが腕の見せどころのはずなんですよね、ほんとうは。
映画独自のストーリーをつくりあげればいいわけだし、
キャスティングの妙なんてのもある。うまい役者さんなら、
小説のイメージの登場人物を超えられるかもしれませんよね。
それに、今なら、いろんなテクノロジーを
駆使できるはずです。
最先端の「映像+音」VS アナログな「言葉」の世界。
なんだけど、超えられなかったりする。
日本映画の場合、いろんな制約があるんでしょうね。
人気重視のキャスティング、作品というより、商品って
感じる映画の方が多いです。

で、見に行ってきました、小説を読んだ「プリンセストヨトミ」。

行こうかどうか迷ったんですけど、
なじみの場所がロケ地ということで…。

(ここからはネタバレになるので、小説を読む、
映画を見に行く予定の人は読まないでください。)



映画は、やっぱりダメでした。
小説を超える作品にしよう、なんていう意気込みは
感じられない映画でした。
作品というより、う〜ん、商品としてつくられたんでしょうね。

まずは、キャスティング。
主要キャストである会計検査院の調査員三人は、
小説ではそれぞれ個性的なキャラクター。
クールな調査官のボス「松平」
ハーフで長身の美女「旭ゲンズブール」
小柄でどじな男「鳥居」。
映画では、「旭」と「鳥居」の男女設定を入れ替えてると
聞いていたので、その意図はなんだろう?と思って見たのですが、
意味のない入れ替えでした。
長身でハーフの美女を演じる女優が見つからなかったのかもしれないけど、
男女逆にして、このキャスティングはないでしょう。
というか、キャスティングは、綾瀬はるかさん
ありきだったのではないのでしょうか?
彼女を使う事が最初から決まっていたんじゃないのかなあ。
「松平」も堤真一さんのイメージではないですね。
小説に合わせて、アイスクリーム食べさせることないのにw

ストーリーの変更部分も納得できませんでした。
小説を読んだ時、ブログにも書きましたが、(過去記事
テーマは、父と子の絆。大阪には、男だけの世界がある。
父が息子にあることを伝承していくことで、
それは支えられている、女性はなんにも知らないんだというストーリー。
でも、小説では最後に、
実は女性はぜんぶ知っていて、
その男たちの伝承を見守っているのだ、というオチが
用意されています。「バカだねえ、大阪の男たちは」と
つぶやいて、知らないことにしてあげる心優しい女性が描かれている。

映画では、その伝承を女性も知っていて一緒に行動している
という設定にしています。
なのに、「バカだねえ、大阪の男たちは」とつぶやくシーンは
残しているんですよね。監督さん脚本家さん、どちらの問題なのかは
わかりませんが、小説の大切な部分、読めてないんじゃないでしょうか。

小説「プリンセストヨトミ」は、父と子の絆、という大きなテーマが
込められていたのですが、ストーリーが奇想天外だったので
ぼやけるというか、伝わってくるものが少ないように感じました。
原作でもそうなのに、これを短い時間の映像で描くのは無理があるんじゃ
ないかな、と思ってたんですけど。
映画は、強引に詰め込んだという印象ですね。
後半、急に父と子の物語がクローズアップされたので、
原作を知らない人は、わけわからなくなったんじゃないでしょうか。
映画だから思い切って、バサッとテーマは削って
エンターテイメント映画に徹した方が良かったような気がします。

映画で良かったのは、沢木ルカさん、そして中井貴一さん。
中井さんは、父と子の絆というテーマに特別な思いがあるようです。

こちらに映画評が載っていますが、私とは正反対の意見ですw
ま、ひとそれぞれってことで。
映画「プリンセス トヨトミ 映画評論





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