SSブログ

映画「ナニワ・サリバン・ショー 感度サイコー!!!」鑑賞レポ。 [音楽(忌野清志郎)]

「ナニワ・サリバン・ショー」は、とてもすぐれた音楽イベントだったと思う。
エドサリバンをパロッたステージ進行はもちろん、
スネークマンショーを彷彿とさせる畠山桃内(伊武雅刀)の爆笑MC。
ゆずの到着が遅れてるという報告に、怒った客(竹中直人)が
客席からステージに乱入して、そのまま歌ってしまうというサプライズ的演出。
ブレイクタイムに流されたニュース映像。
後ろの観客を盛り上げるための
サプライズライブ(センターステージでの豪華共演)、
そして、アンコールでのまさかの選曲(「そして神戸」)。
忌野清志郎ファンはもちろん、そうではない観客をも満足させる
一流のショーだと感じた。

出来が素晴らしいだけに、清志郎の足跡として
なるべく完全版に近いカタチをパッケージしたものを
つくってもらえないだろうか。清志郎亡き後、
そんな思いが常にあった。
だから、「ナニワサリバンショー」が映画として公開される、
というニュースには拍手喝采を送りたい気分だった。
いろんな権利の関係だろうが、やはり第一回目の
完全版ではなく、過去のライブ映像を中心としたものになる、
という詳細が、その後伝わってきたが、
新たに撮影した映像を加えた映画版「ナニワサリバンショー」を
創るとのこと。ショーに負けない凝った演出が散りばめられた
極上のエンターティメントになるのだろうと感じて、
期待がますます高まった。

IMG347.jpg

いろんな思いを胸に、11月29日、
なんばパークスシネマを訪れた。
場内が暗転、いよいよ上映がはじまる。
映画は、2011年、「ナニワサリバンショー」第4弾が
行われた日の大阪のドキュメンタリー。
出演者がDJとして、ショーの魅力を伝えていくという設定。
それと平行して、大阪城ホールを
目指すランナー間寛平をカメラで捉えるようだ。
いよいよライブシーンがはじまった。

清志郎の映像がでっかいスクリーンに映されるのは、まさに感動。
しかし、しかしだ……
その映像が、信じられないほど荒い、キタナい。
寄りの時は、そうでもないが、ステージ全体をとらえた映像は、
ダビングを重ねに重ねた時におこる、あの感じ。
まるで海賊版ビデオのようだ。
過去の映像のハイライトではなく、新たに映像を加えた理由は
ここにあるのかもしれない。
映画化は、WOWOW(ナニサリ)、
スペースシャワー(続ナニサリ)、NHK(新ナニサリ)から
提供された映像をそのままに近いカタチで
使っているのかもしれない。
だけど、それでいいんだろうか?
これは、第4のナニワサリバンショーなんだろ?
本物のライブショーに負けないものをつくろう、
と意気込んでつくった映画なんだろ?
今の技術なら、映像のクオリティを
もっともっと上げることは可能なんじゃないだろうか?
不思議だったのは、木村充揮や宮藤官九郎との共演シーンだけ、
クオリティが高かったこと。ソースが違うのか、
なにか手を加えたんだろうか?

肝心の映画としての中身だが、ストーリー、
選曲、そしてオチらしきもの、そのすべてに疑問がある。
これじゃ、どんなショーだったのか、なんにも伝わらない。
3回とも違う趣向を凝らしたショーだったんだが、
それもごちゃまぜで、これは、ただ単に
豪華共演ショーがあった、という表現だ。
仲井戸麗市やハナレグミ、宮藤官九郎がこのイベントに
関するエピソードや思い出を語っているが、その部分が一番良かった。
笑いの要素を入れたり、変なストーリーを付けずに、
純粋なドキュメンタリーにした方が良かったのではないか、という気がする。
音楽ベースの清志郎映画としては、「不確かなメロディー」の方が、
ずっと上だと思う。

この映画を、もっとも楽しめるのは、「ナニワ・サリバン・ショー」を
テレビ放送も含めて見たことがない人だと思う。
そういう人なら、次から次へと繰り広げられる豪華共演も
新鮮だろうし、清志郎がよみがえったという感じで涙を流すかもしれない。
でも、ショーを見て、放送された3回のショーのビデオを
飽きるほど見た私にとっては、かなりがっかりな内容だった。

映画館のスクリーンに映し出される清志郎の
どアップ、飛び散る汗、熱唱。
ファンとして、グッとくるものがあったし、
それだけでも十分なのかもしれないけど、
出来がいいショーだったからね。
残念というより、本音は、
こんな作品にされて怒ってますw
期待しすぎたのかもしれないけれど。



nice!(13) 
共通テーマ:音楽

nice! 13

Facebook コメント