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広告ってパクってもいいの? [広告]

絶対にパクるな! これは、とある広告プロダクションにいた時に

徹底的に叩き込まれたこと。そこでは、仕事中に、

年鑑(コピー年鑑・ADC年鑑)を見ることも一切禁止されていた。

その時は、そこまで厳しくしないでも、と思っていたが、

今、考えてみると、それは当たり前のこと。

仕事を依頼した建築家や作曲家、アーティストが他人の作品を

見ながら構想を練っていたら、頭にくるだろう。

自分でアイデアを考えろって。

いろんな年鑑をめくりながらビジュアルやコピーを考えるのは、

それと同じ行為だと思う。



パクリはダメ! パクってると勘違いされそうな仕事のスタイルもダメ。

そんな感じで、ずっとこの仕事を続けてきたのだが、

パクってもええやん!って人にもたくさん出会ってきた。

よその広告を見せて、こういうの作りたい、という人。

打ち合わせに年鑑を持ってくる人。

このアイデア使われてますよ、と言っても、それがどうしたん?と

真顔で言う人。

そういえば、ある会社の社長は、「何にも無しではアイデアは浮かばん、

年鑑を見ながら考えるクセをつけなあかんで!」なんて言ってたw



そんな人たちもいる業界なんで、「広告ってパクってもいいの?」の

答えは一つではないのかもしれない。



難しいのは、パクる、マネするつもりはまったくないのに、

そっくりになる、同じになってしまうケースがあるということ。

パッと浮かんだアイデアが、ヒラメキ・思いつきなのか、

過去に見たものを思い出したものなのか、

その判断がつかない。

そして、他の広告との類似性が、

ネット上の検索や年鑑だけではチェックできない。

というわけで、他社の広告と似たようなものを

作ってしまう可能性は誰にでもある。



クライアントに「広告ってパクってもいいの?」と

問いかけてみたら、とんでもない!オリジナルでなければ困る。

どこにもないすばらしい広告を作ってくれという

答えが返ってきそうな気がする。

でもそれなら、たくさんのアイデアと労力を水の泡にする

コンペ形式の発注はやめるべきだ。

そしてスケジュール。広告業界に残業が多いのは、

クライアント側の問題である場合が非常に多い。

広告業界の働き方改革に必要なのは、

クライアント側の発注改革だと思う。



もっと働きやすくなれば、

もっといい広告が生まれてきそうな気もするのだが、

う〜ん、願望かなw

なんか、わけのわからん落ちになった。






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西武・そごうのお正月広告。やるやん!と思ったのだが... [広告]

今年の「西武・そごう」のお正月広告が話題になっているようだ。
さ、ひっくり返そう。というキャッチで、
ビジュアルは、炎鵬関。タレント広告の一種だと思うが、
人物は真ん中に小さく添えられているだけで、
タイポ案ととらえた方がいいかもしれない。ボディコピーを
しっかりと読んでもらおうというレイアウトだ。

で、ボディを読んでいくと、最後に、
「ではこれを逆さに読んでくれ」というコピーに出会う。
それを読むと、まったく違う落ちへと到達するという仕掛けだ。



さ、ひっくり返そう。

 大逆転は、起こりうる。

 わたしは、その言葉を信じない。

 どうせ奇跡なんて起こらない。

 それでも人々は無責任に言うだろう。

 小さな者でも大きな相手に立ち向かえ。

 誰とも違う発想や工夫を駆使して闘え。

 今こそ自分を貫くときだ。

 しかし、そんな考え方は馬鹿げている

 勝ち目のない勝負はあきらめるのが賢明だ。

 わたしはただ、為す術もなく押し込まれる。

 土俵際、もはや絶体絶命。


文章を下から上へ、一行ずつ読んでみてください。逆転劇が始まります。



そごうCM



久々におおっ!と思った広告。お正月広告の中で、
いちばんインパクトがあったのではないか。コピーそのものは、
HONDAの企業広告「負けるもんか」に近い感じがしたのだが、
なによりひっくり返して読むと意味がひっくり返る、
というそのアイデアが秀逸だと思った。キャッチとも見事に一致しているし。

当然、このアイデアは話題になるだろうと思っていたが、
別の観点からも、議論が巻き起こっているようだ。
それはこのクリエィティブの是非についてだ。
肯定的な意見が多いようだが、
この広告では売り上げにつながらない、客が集まらない、
今のそごうのイメージに合わないなどなど、
否定的なコメントがSNS上で多く寄せられているのだそうだ。
まあでも、商品広告でもイベント告知でもないわけで、
いわゆる「文句いい」の意見だと思う。
話題になるだけで、広告としては大成功なわけで、
これを作った人たちに、拍手をおくりたい、


と、その時は思ったのだが...。

それからしばらくして、業界の大先輩が、
「新年早々気分の悪い広告を見た」と
某SNS上で激怒されていた。
なんとそれが、この広告。
このアイデアは元ネタがあって、
あきらかにパクリだとおっしゃっていた。

その方が、貼り付けていたリンクがこれ

ads of the world/the truth

なんと13年前のカンヌ受賞CM。
動画の場合、音楽が転調するのもそっくりだ。

どうなんだろう。これを作ったスタッフは、
この元ネタを知っていたのか?

話題になっているのは、このこと。
元ネタがある手法を
使っていいのか悪いのかの議論が巻き起こっているのかと
思っていたのだが。

難しい問題だと思う。
う〜ん、私ならやらないな。


追伸

この件をいろいろと調べてみると、
逆さから読んだら意味が変わるという手法。
海外ではあたりまえらしい。
日本では回文が知られているが、
それと同じようなもの。
海外では子どもたちが授業で学ぶんだそうだ。

だとすると、パクリうんぬん
という話では
ないということかな。
回文で広告を作っても
パクリだとは言われないだろうし。

発想がすごいのではなく、
日本では知られていない手法を持ち込む、
という目の付け所がすごいということかな。




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